第6章 緑生期
第1話 プライスレス!?

「さてと。。。」
壁に貼ってあるA1サイズの出店計画地図を見ながら
松田はオフィスチェアにあぐらをかいた。
部屋店は半径1.5Km以内に出店を行い、
来店が多い店にすぐ駆けつけるようにしていた。
新入社員8人の入社。
社内では3人に1人が新入社員となる。
「どうしたもんか。。うぅーん。」
地図を見つめる松田はうなった。
新入社員を含めた配属、新店舗出店に頭を悩ませていた。
もちろん今年も金はない。
「まだかな、木下くん。。。」
木下の携帯が震えた。
「どうもー!お世話になります!○○オーナー。
・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・ありがとうございます!」
木下は左手で眼鏡をかけ直した。
数秒後、松田の携帯がなる。
「お疲れさん。。」
「お疲れ様です!!」
「えらい元気やな!」
「あざっす!!○○オーナーから連絡がありました!
テナントが月末で空くんで借りてくれっておっしゃってます。」
「場所は??」
「五日市方面です!」
「五日市方面って。見たんか?」
「いや、まだです。」
「広さは?」
「6.8坪です。」
「狭いやないか。今何入ってんの?」
「一人でやってる小料理屋です。」
「小料理屋ぁ?大丈夫か?」
「大丈夫です!!!!」
自信ありそうに答えた。
「おい、見とらんやないか!!」
「社長、いいですか?」
いつもなら礼儀正しい木下が、上からモノ言うように続けた。
「P込75,000円です」 ※Pは駐車場の事
「おぉ、ええじゃないか!」
毎年金欠の松田にとってはベストプライスだ。
「さらに、社長!今なら!!なんと!!!
無理したら車が3台入ります。」
木下はジャパネットたかた風に自信げに答える。
「P3台込み 75,000円です。今だけです!」
あまり大きな声を出さない松田も声が張る。
「えぇじゃないか、すぐまとめてくれ!!」
松田は興奮冷めぬまま携帯を置いた。
今でも後でも駐車場3台は変わんねぇだろ。。。
なかなかのもんやないか。
2015/09/16 20:32