【番外】快晴の中本
第6話 進化のとき
「知らん。」
「!?・・・えっ!」
まさか解決してくれないなんて。
中本は言葉を失った。
中本は、なぜ松田が断ってきたのか理由は分からなかったが、
自分が解決しないといけないという重圧が一気に膨らんできた。
とにかく時間が無いので家主様に再度連絡をとり懇願した。
家主様からの答えは「NO」だ。
他のお客様の迷惑になるから。と言われれば何も言えなくなる。
どうしよう。明後日には引越しだ。
お客様の新生活を考えれば考えるほど、重大なミスをしてしまったと。
自分の安易な考えを本当に反省した。
しかし、反省していても何も解決しない。
松田が声をかける。
「やる事やったんか!」
中本は考える。
「自分に出来ることは行動だけだ!」
中本はすぐに現地に行き、ビルの家主様に交渉してみた。
ダメだ。
近くの家具屋に駐輪をお願いできないか聞き、
近くのパチンコ店にもお願いをした。
無理を承知でスーパーまで回った。
無理だ。
近くの戸建てにチャイムを押した。
ピンポン・・・・
「自転車を置かせてください。
僕の大切なお客様が・・・・」
断られた。
物件周辺の住民一人ひとりに
軒先に自転車を停めさせてもらえないか
お願いして回った。
ピンポン・・・・
「自転車を置かせてください。
僕の大切なお客様が・・・・」
しかし、どこからも断られ時間だけが過ぎていく。
ピンポン・・・・
ピンポン・・・
ピンポン・・
そして日も暮れかけた頃、最後の一件を訪問する。
ここを断られたらお客様にどう謝罪すれば良いのか。
そんなことを考えながら呼び鈴を鳴らした中本は
訪問先の玄関で自然と膝をつき
頭を下げてお願いをしていた。
2014/04/30 16:41