第1章 由来
第6話 部屋店誕生!

まさかの展開だ。
この展開を誰が予想したのか?
なぜ、ここに来て部屋天が出てくるのか?
数日前の居酒屋での社名会議では
予想されない展開だ。
誰もがこのような思いを巡らせたに違いない。
いや、ここまでの展開なら
この感情を持つことは当然だ。
有力だと思われていた木下は
冷や汗を出し、焦る。。。
正直、彼にとっては
”空白の時間が流れた”
という表現が正しい。
吹田も黒瀬も中本も、
「部屋天」が
社名になるのには少し抵抗がある。
古賀は”嬉しい”というよりも、
「本当に部屋天で良いのか?」
という心の中の疑問符が顔に出ている。
一旦、冷静になった6人は
納得するまで話し合った。
松田は言う。
「お部屋探しをするお店だから部屋天」
とても分かりやすく
印象に残りやすく良いじゃないか。
皆も答える、「確かに・・・」
誰かが口に出した。
「部屋天だとあまりしっくりこないから、
どうせなら部屋店にしたらどうだろう」
「なるほど。これなら分かりやすく、印象にも残る」
全員が納得するまでに少し時間はかかった。
何しろ初めて口にした言葉だ。
「へやてん」
しかし、言葉とは面白い。
何度も口にすると、さも
昔から知ってる言葉に聞こえてくる。
部屋店に全員が賛同した瞬間だった。
部屋天を候補に出した古賀は、
複雑な表情から
満面の笑顔になり満足気だった。
『部屋店』
暖かい春の日、ついに社名が決定した。
2011/03/28 16:27