第1章 由来
第4話 お部屋の天国
6人は同時に
新しい飲み物を注文した。
集中していたのか全員注文は”同じもの”だ。
そして、新しい飲み物が到着した。
配り終えるまでは誰も
新しい社名について語らない。
途中で話が遮られることを予測してなのか。
それとも、どうやって
この状況を打開するか考えているのか。
配り終えたと同時に
数字にはめっぽう強い最年長の古賀が続く。
『部屋天』
これまでのプレゼンと違い、
突然外国語から日本語の社名が発表された。
この言葉で全員がグラスを止めた。
表情が変わる。
皆の視線が古賀に集まる。
そして、待っていたかのように
同時に「ぷっ」と失笑が起こる。
「それはないよ。」
という言葉が聞こえてきそうだ。
美容院やオシャレな
セレクトShopのような
名前が続いていただけに、
空気が一変したのは仕方がないことだろう。
まるで最初から知っていたかのように、
古賀は
”やっぱりダメか～”と、
うなだれた。
しかし、上には上がいた。
更に空気を変えた人がいた。
いや、空気自体流れていなかったのかもしれない。
それは指導のプロ・黒瀬だった。
『イマンス・デフ』
変な名前が発表され、その場に
沈黙が流れ、皆、数秒固まり
何事もなかったかのように
次々に社名の発表が続いた。
温め考えてきた社名が
次々と発表されていったが、
「これは！」
とハッキリ思うものが出てこない。
次第にいわゆる膠着状態に陥ってきた。
当然だとも言える。
社名は重要な決定事項である。
焦ることはない、時間はまだある、と
松田は自分に言い聞かせた。
時計の針が進み日付が変わった。
このまま続けている事は
得策ではないと考え、
数日後に再度集まることにした。
自信のあった木下と吹田は少し残念そうに
肩を落としてお店を出る。
古賀と中本は吹っ切ったようでもあった。
皆それぞれ疲れた表情だが、
何か充実感を感じているのだろう。
数日後に向けて
皆、前を向いていた！
2011/03/14 12:05